木造住宅の平均寿命はイギリス140年、アメリカ100年、日本はなんと27年です。同じ木造住宅とは信じがたいほど日本の住宅はいかに短命かを物語っています。”世界の住宅寿命”のキーワードで検索してみてください!

 それはなぜか?日本の気候が高温多湿で四季があることも特徴だとは思いますが、それにしても短すぎると思いませんか?特に戦後の日本は土壁と石場建建築が姿を消し、高度成長期を経てアルミサッシが普及し、昭和40年代からはグラスウールなどの断熱材が一般化してから住宅の寿命が一気に短くなりました。

 木はもともと強度と耐久性に優れた構造材ですが、壁の内部に発生する「目に見えない水」=「内部結露」が原因となって、気が付かないうちに柱や土台・屋根などの大切な構造体を腐らしてしまうのです。

この内部結露が住宅寿命を縮めている主な原因です。

 

 家は高断熱、高遮熱で且つ透湿性が無ければなりません。透湿性のない新建材プラスティック素材を多用して高気密にすることで家は自然呼吸を止められて、透湿を阻害しその結果結露を招き30年足らずで家は死んでしまうのです。住まうヒトの健康をも害してしまいます。屋根・壁・床は透湿性のある素材で断熱・遮熱しることで、冬はほっこりと暖かく、夏はカラリと涼しくカビや結露で悩まない、健康で快適な住まいを実現させる要素は”断熱・遮熱”と・・・肝心な”透湿”です。

・ 高い断熱性
床・壁・天井の断熱・遮熱性能が確保されれば外気温に影響されることなく、夏は暑過ぎず冬は寒過ぎず快適な室内温度が保てます。断熱・遮熱性能の高い素材と施工方法を選択することで、室内の熱を逃がさず、室外の熱を取り入れない、エアコンに頼らない家が出来ます。 

・適度な透湿性
人間の衣服が汗や熱気を放出させて快適さを保つように、家自らも快適性を調整するための透湿性が必要です。特に北側の台所、浴室、洗面所など、水回りの床下部分などは湿度が高く、土台などが腐る危険性が高い箇所です。土台や柱、床などが腐ると住宅としての寿命が著しく縮まります。特に、目に見えないところで結露しないようにする=透湿性を高めることが不可欠となります。

 「内部結露」は、壁の中の「断熱材」と大きく関係しています。断熱材をより多く入れれば、「夏涼しく、冬暖かい」「省エネ住宅」と単純に思ってしまいがちですが、湿気の問題を置き去りにしているのがグラスウールをはじめロックウール、ポリスチレンフォームです。

 日本の高温多湿な気候に重ねて、人が生活する住宅内部には大量の湿気が継続的に発生します。湿気を含みながら壁の中で温度変化が生じた時に壁の中が結露します。例えるならば壁の中で汗をかく現象を引き起こすのです!

 エアコンの室外機のホースから外に流れる大量の水はすべて室内の空気に含まれていた湿気ですから、「目に見えない水」がいかに多い事かわかると思います。

 冬の寒い日、もし運悪く室内側の壁に防湿処理が不十分な箇所があったならば、湿気を含んだ室内の空気が壁の中に入り込み水蒸気が冷やされて内部結露を起こす可能性があります。夏の暑い日は、高温多湿の外部の空気がエアコンで冷やされた室内の冷たい空気と壁の中で出会って結露を起こします(逆転結露)

 結露が発生すれば、グラスウールやロックウールは水分を含んで断熱材としての役割を果たさなくなり、直接接する柱などの木材を腐らせたり、カビ、シロアリ等の発生原因となり健康にも悪影響を及ぼします。グラスウールなどの断熱材は、壁の中で薄いポリエチレンフィルムで覆われているため、簡単に言えば家はビニールハウスのようになって呼吸ができません。ベニヤなどは、湿気を大量に含むと、張り合わせた層がはがれ始め、板材としての機能を完全に失います。

 一般的に使用されている建築断熱材の種類は大きく分けて3種類。

・鉱物繊維系  ・発泡プラスチック系  ・自然素材系

 それぞれに特長がありメリット・デメリットはありますが、一番おススメしたいのが究極のエコ断熱材・自然素材の「セルロースファイバー」です

次世代型住宅の断熱工法 セルロースファイバー ハウスラッピング

 セルロースファイバーは、新聞紙を原料にしたリサイクル断熱材で、天然植物(木質)繊維で出来ています。新聞社などでは刷り損じや試し刷りなどがたくさん出るのですが、一番多いのは販売店からの返品です。新聞古紙のような人の手に触れたものは異物が付着している可能性もあるので混入していません。製造過程では、多量の燃料で鉱物を溶かしてつくられるグラスファイバーなどと比べるとはるかに少ない製造エネルギーなので、環境への負荷が少ないのも特徴です。セルロースファイバーは専用の機械と専門の技術者によって施工されます。

壁の中の柱間・床・天井、全てに完全に隙間なく高い充填密度で吹き込みます。これによって空気の流通が止められ、断熱性のみならず気密性も高まります。セルロースファイバー断熱材には、繊維同志のからまり合いで生じる気胞に加え、木繊維特有の無数の微細な空気胞があり、この二重の断熱効果で優れた性能を発揮します。

セルロースファイバーの断熱効果以外に以下のような特徴を持っています。

1)防燃効果・・・優れた火炎安全性

 万一の火災には延焼を抑えるたくましい防壁です。一般的なグラスウールは火災で熔けて、炎や煙の通路を作ってしまいます。また、外張り断熱材として多用される発泡プラスチックは、可燃材で有毒ガスを発生します。火災の死因は火傷が最も多いのですが、実は直接的な死因は一酸化炭素中毒だと言われています。プラスチック系の物が燃えると有毒ガスが発生し、これを吸うとあっという間に意識障害がおき失神してしまいます。意識を失い逃げることが出来ずに火にまかれてしてしまう…。これは恐ろしいことです。セルロースファイバーにはホウ酸の薬品処理がしてあるので炎を上げて燃え上がることはありません。表面が赤く焦げるだけでゆっくりと炭化してゆき、有毒なガスも出しません。この難燃性により、万一の火災の際にも延焼を防ぐことが出来るのです。国に認められた確かな工法ですので火災保険料が割引になります。

2)調湿効果・・・過剰な湿気を吸い取り建物の湿気や腐りを防ぎます

 繊維同志のからまり合いで生じる気胞は住宅内の過剰な湿気や臭気を吸着します。同じ柱間充填断熱材でも、グラスウールやロックウールはその調湿効果がありません。グラスウールなどは、暖房室内の水分が壁に侵入し外壁で冷やされて水滴になり、住宅の腐りの原因になるため、防湿シートの施工が欠かせません。セルロースファイバー断熱の家では、空気が乾燥するとセルローズが水分を放出してくれ、湿度が高くなると水分を吸収してくれます。

3)吸音効果・・・木質系の優れた吸音性が住宅にあきらかな静寂を!

 セルロース繊維自身の多孔性と、グラスウールの3~4倍の高密度充填のおかげで、交通騒音から話し声まで幅広い騒音を吸収し、静かな家を作ります。低周波の域や固体伝播音を小さくすることは困難ですが、高周波の域や空気伝播音においては、優れた吸音性によって音を和らげることができます。現にアメリカでは空港周辺の住宅の防音材としても認可されています。因みに、アメリカの木造住宅の40%以上にセルロースファイバーが使用されていて、断熱材種類別ではトップシェアです。

4)防虫効果・・・防虫・防カビにも万全。健康的な住まい環境を作ります

 防火用に添加されるホウ酸系の薬品ですが、実は殺菌力が強く眼科の洗顔に使われるほどです。眼に入れても大丈夫だというのだから健康への安心・安全性もあります。ゴキブリ用のホウ酸団子のように、カビや腐朽菌、ダニ、虫類やねずみの侵入を防ぎ、建物と住む人の健康を守ります。

つまりセルロースファイバーは、高い断熱性能の他に、防火性能、調湿性能、防音性能、防虫性能を兼ね備え、建物全体を補完し長持ちさせる役目を持つ。地球の環境にも優しい最高の断熱材となります。ここまで多くの性能が備わっている断熱材は他にありません。

断熱材の役目とは、壁・床・天井・屋根など、熱が出入りしやすい部分にたくさんの断熱材(空気)を入れると、夏は外気の熱の侵入を防ぎ、冬は内部の熱の流出を防いでくれます。

最近は断熱材の種類が多くなり選択の幅が広がりました。それぞれに一長一短、特徴があるものの共通しているのは無数の気泡(空気)のかたまりでできています。外気の影響で空気が動いてしまうと熱が移動することになるので、空気を小さな気泡にとどめて、熱が移動(対流)できないようにしたもの。それが断熱材の考え方です。